打楽器アンサンブル名曲紹介

第2回
セレブレイションとコラール(作曲:N.DE ポンテ)
“CELEBRATION AND CHORALE”(N.DE PONTE)

2017年09月01日 更新

この曲は、アメリカのイーストマン音楽院で打楽器の指導をしている、ジョン・ベックとイーストマン・パーカッション・アンサンブルのために作曲されたもので、6人の奏者で演奏されます。

【概要】

曲は静かなG音のトレモロによるトレモロによるユニゾンで始まり、続いて鍵盤楽器が一人ずつ異なった周期の反音階的音群を重ね合わせ、ティンパニのゆったり としたモティーフ、トムの快活なカデンツア へと導かれます。S.D.がそのリズムを受け継ぎ、トムによって提示されたテーマがティンパニ、鍵盤群へと増大していってクライマックスを迎えます。

中間部は暖かく歌われる敬虔なコラールをマリンバがひときわ美しく演出します。コラールの余韻に浸っているうちに、S.D.が現れ、テーマを再現します。そのテーマが必要にくり返される度に盛り上がって、ティンパニが頂点を短いが説得力のあるソロで強調、一気に終曲となります。

曲全体は、若者たちの生き生きした息吹、精悍さ、ひた向きな情熱、そんな素晴らしい特質がよく反映される爽快な名曲の一つです。

【演奏に関するワンポイント・アドバイス】

各奏者は、常にテンポとリズムを正確にキープしている必要があります。

特に冒頭の部分は異なった周期のリズム(3+4+5+4)を各人が繰り返し演奏しますから、身体がリズムを覚えて自然に演奏できるようになるまで、よく練習してください。

Aのトムのカデンツアは快活に、B1のS.D.のリズムは厳格にきびきびと演奏しましょう。

Cのティンパニはダイナミックスをよく守って、しっかり演奏してください。そうすれば、D以降のtuttiが容易になるでしょう。

Eは太鼓群のみの演奏ですから、強弱の対比とアクセントを際立たせることによって打楽器の醍醐味を十分に発揮することができます。

Hの鍵盤楽器は、ダイナミックスを少し下げてから盛り上げると効果的です。Xylophonのソロをよく聴いてバランスに気を配りましょう。そして、音の変わり目をしっかりと表現してください。

Kのコラールは十分に歌って欲しいのですが、全体の流れの中で各声部の役割、フレージング等をよく研究して演奏してください。

LのS.D.はアクセントを強調することよりも流れを作ることの方が大切です。

曲全体としてf以上の音量が乱暴にならないように美しい響きで演奏してください。