打楽器アンサンブル名曲紹介

第1回
5人の打楽器奏者の為の「ゲインズボロー」(作曲:T.ゴーガー)
“GAINSBOROUGH” FOR 5 PERCUSSION PLAYERS (T.GAUGER)

2017年09月01日 更新

トーマス・ゴーガーは1963年からボストン交響楽団の打楽器奏者となり、1965年からはボストン大学の教授を務めています。

この曲は1965年当時、ボストン交響楽団の打楽器セクションのために書かれたものですが、現在ではアメリカは勿論のこと、我が国に於いてもこの種のレパートリーのなかで、最も演奏される曲の一つとして数えられるほどポピュラーになっています。

それはこの曲が基本的な楽器編成で、しかも、いわゆる現代音楽的、あるいは無調音楽的でもなく、調性の限りを探究しようとする意図で書かれているためと言えるでしょう。

【概要】

1楽章は9/8拍子で、ジャズ・ワルツ風の雰囲気で小気味良く奏されます。

2楽章はゆったりと上品で気品に満ちた表現を楽しめます。特にマリンバの和音に支えられたヴァイブのレチタティーヴォが魅力的です。

3楽章は変拍子を伴ったハイ・テンポの楽章ですが、それぞれのパートをフィーチャーしてよく歌わせています。

【演奏に関するワンポイント・アドバイス】

この曲は、いわゆるオーソドックスな音楽表現をすることを前提として作曲されています。

打楽器の音楽というと、楽器の持つ迫力に頼った表現や、なにか特殊な効果を狙った演奏になりがちですが、この曲に関しては、極めてクラシカルに扱って欲しいと思います。

概要の部分でも述べましたが、この曲は打楽器の中でも極めて一般的な楽器だけを用いて、打楽器本来の持つ響きの美しさを描くことを意図していますので、その点に気を配って演奏しましょう。

ですから、歴史を通じて証明された方法で打楽器アンサンブルを楽しんで頂きたいと思います。

奏者は各パートで奏されていることを注意深く聴くことによって、それぞれの楽器が本来持っている役割を把握することができます。

その役割はオーケストラや吹奏楽において、打楽器セクションに要求されている基本的な要素、表現形態に共通するものですので、演奏を通して貴重な事柄を充分に学び取ってください。